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AI・LLM解説

AIの意思決定モデルとは何か、解説

意思決定モデル(デシジョンモデル)は、テキストを書く代わりに、決められた答えの中から選び、それぞれの確率を返します。ホスト型の料金は入力100万トークン当たり0.02ドルからです。

著者 Tech AI Wire Team

5 分で読めます

Cloudflareのドキュメントのコード例。意思決定モデルClef-omniにリクエストを送っています。テキストのstateと画像、音声、動画の入力、そしてnoul型のはい・いいえの質問が含まれています。

数字で見る

lowest hosted price per million input tokens (Perplexity)
$0.02
for output tokens at TypeSafe, OpenAI, Perplexity and Microsoft
$0
one d1-3B decision on an RTX 4090, per Liquid AI
8 ms
gap between the cheapest and dearest hosted price
12x
Hosted input price, US cents per million tokens
pplx-decider
2¢
Clef-flash
3.8¢
Jev
4.2¢
Microsoft-Decision-1
4.2¢
OpenAI gpt-6-luna
10¢
Clef-omni
15¢
Clef
24¢

意思決定モデルとは、テキストを書く代わりに、決められた答えの中から選び、それぞれに確率を返すAIモデルです。2026年9月中旬以降、少なくとも8社がこの種のモデルを出しました。TypeSafeのJevから、Cloudflare、AWS、Perplexity、Liquid AI、OpenAI、Microsoftのモデルまであります。AIエージェントは「はい・いいえ」や「1つを選ぶ」といった小さな判断を何度も行います。意思決定モデルは、それをチャットボットより速く安く処理できるため重要です。

意思決定モデルの仕組み

チャットボットのモデルは、答えを単語の断片、つまりトークンごとに1つずつ書きます。意思決定モデルは何も書きません。アプリは、stateと呼ばれる入力と、決まった答えを持つ質問のリストを送ります。モデルは、許された答えのそれぞれに確率を返します。

このカテゴリーをJevで始めたTypeSafeは、これを関数呼び出しにたとえています。TypeSafeのfounderであるDiogo Almeida氏は「構造化されていないstateを入れると、型付きの確率的な判断が出てくる」と述べました。「型付き」とは、答えが常に決まった形で返るという意味です。はい・いいえの質問なら、返ってくるのは「はい」か「いいえ」だけです。

ほとんどの提供企業は、名前は違っても同じ3種類の質問を用意しています。

質問の種類返すもの使われている名前
はい・いいえ答えが「はい」である確率noul(Cloudflare、Perplexity、Laya)、predicate(OpenAI)
1つを選ぶ選択肢ごとの確率choice
評価する確率で重み付けした尺度上のレベルscore

速さの理由は、テキスト生成を省くことにあります。AWSのStrandsチームは、モデルのうち単語を生み出す部分を取り除いたと説明しています。そのためDeciderは「選ばれた選択肢の中から必ず答えを出す」とのことです。Cloudflareによると、Clefは入力を1回読み、有効な答えをすべて並行して採点します。Liquid AIの説明は簡潔です。同社のd1モデルは「トークンを生成せず、1回の順方向の計算で答える」としています。

確率は「較正(キャリブレーション)」されていることが前提です。80%確実とされた答えは、およそ80%の確率で正しいはずだという意味です。アプリはこの数字を使って、そのまま実行するか、人に確認するか、より大きなモデルに質問を回すかを決められます。

これまでのモデル

モデル開発元重みベースホスト型の入力料金(100万トークン当たり)
JevTypeSafeホスト型サービス非公表0.042ドル
LayaConvai Innovations公開、Apache 2.0ModernBERT-large、421Mなし(セルフホスト)
ClefCloudflare公開、Apache 2.0Qwen3.8-27B0.24ドル
Clef-flashCloudflare公開、Apache 2.0Qwen3.5-9B0.038ドル
Clef-omniCloudflare公開30BのMixture of Experts、3Bがアクティブ0.15ドル
Strands Decider 2BAWSのStrandsチームオープンソースQwen3.5-2B非公表
pplx-deciderPerplexity公開、Apache 2.0Qwen3.8-27B0.02ドル
d1-3B、d1-omni-600MLiquid AI公開LiquidのLFM2.5モデル非公表
Decisions APIOpenAIホスト型サービスgpt-6-luna0.10ドル
Microsoft-Decision-1Microsoftホスト型サービスQwen3.5-9B0.042ドル

TypeSafe、OpenAI、Perplexity、Microsoftはいずれも、出力トークンは無料だとしています。課金されるのは入力だけです。Perplexityのドキュメントでは、pplx-deciderの料金は入力100万トークン当たり0.02ドルです。10月1日の公開時のAlphaSignalの報道では0.04ドルでした。予算を立てる前に、最新の料金を確認してください。

いつ何が変わったか

この分野は1か月で1つのモデルから10に増えました。

日付リリース
2026年9月15日TypeSafeがJevを公開
2026年9月Convai InnovationsがLayaを重み公開で発表
2026年10月1日Cloudflare Clef、Strands Decider 2B、Perplexityのpplx-decider
2026年10月7日Liquid AIがd1-3Bとd1-omni-600Mを公開
2026年10月9日CloudflareがClef-omniを追加し、Clef-flashを0.090ドルから0.038ドルに値下げ
2026年10月OpenAIのDecisions APIがパブリックベータに。Microsoft-Decision-1がFoundryに登場

その間に、扱える入力も広がりました。Layaが読むのはテキストだけで、Clefは公開当初から画像を受け付けていました。Cloudflareの変更履歴によると、Clef-omniは音声と動画にも対応しました。Liquid AIのd1-omni-600Mは、テキストに加えて画像か音声を受け付けます。OpenAIは、同社のAPIが「今後数週間のうちに」ベータを終えると見込んでいます。

どれくらい速いか

速さが最大の売りですが、数字はすべてモデルを作った企業自身によるものです。Liquid AIによると、d1-3BはNvidiaのグラフィックスカードRTX 4090で、1つの質問に8ミリ秒で答えます。Layaのチームは、Nvidia T4で32.8ミリ秒と報告しています。StrandsチームはRTX 3090で中央値およそ115ミリ秒を計測しました。TypeSafeはJevについて70〜500ミリ秒としています。

1回の判断にかかる費用はごくわずかです。InfoWorldはMicrosoftの数字を使って計算しています。1ドルで、同じような短い判断を27万5,000回以上こなせます。InfoWorldは、これらの数字がMicrosoft自身の主張だと付け加えています。

ベンチマークは比較が難しくなります。各社がそれぞれ独自の表を出しているからです。AlphaSignalによると、pplx-deciderは11のベンチマークで85.71%を記録し、Jevは84.51%でした。ただし、誰がテストを行ったかは書かれていません。

苦手なこと

意思決定モデルは、自分の判断を説明することも、何かを書くこともできません。Strandsチームによると、Deciderは複雑な問題では推論モデルより大幅に劣ります。コーディングやチャットボット、要約にも向きません。Layaのチームは、1つの質問の選択肢を20未満にするよう勧めています。リストが長くなるほど精度が落ちるためです。同チームのテストでは、Layaはクメール語のテキストで正答率0%でしたが、平均95.2%の確信度を示していました。

InfoWorldが引用するアナリストも同じ懸念を示しています。Kanerikaのdevelopment manager for AIであるAmit Kumar Jena氏は「正確そうに見える確率は、不確かな判断に、本来以上の権威を与えかねない」と述べました。

開発者にとっての意味

エージェントの中の定型的な判断には、意思決定モデルを使いましょう。サポートチケットの振り分け、ツールの選択、ガードレールの確認、出力の採点などです。推論や文章が必要な場面には、本格的な言語モデルを残しておきます。Strandsチームが提案しているのも、こうしたハイブリッド型のエージェントです。

数字を信用する前に、自社のデータで較正を確かめてください。答えが分かっている過去の事例を数百件流し、確信度80%が本当に80%の正解率になるかを確認します。InfoWorldが引用するアナリストが勧めるように、やり直しのきく判断から始めましょう。

料金は、実際のトラフィックで比べてください。リクエストの費用は、送る入力トークンの数で決まります。ホスト型の料金には、100万トークン当たり0.02ドルから0.24ドルまで12倍の差があります。また、ClefはJevのAPIに合わせているため、試すのはWebアドレスを変えるのとほぼ同じ手間で済む場合があります。

データを社内にとどめる必要があるなら、公開モデルが選択肢になります。Laya、Clef、Decider、pplx-decider、Liquid AIのd1は、どれも自社のハードウェアで動かせます。

出典

  1. Introducing System One Models & Jev - TypeSafe AI
  2. Clef: open-weight decision models - Cloudflare Blog
  3. Clef-omni adds audio and video input, Clef-flash is now cheaper, and Clef is faster - Cloudflare Changelog
  4. Introducing Strands Decider - Strands Agents
  5. Decisions API guide - OpenAI
  6. Decisions API quickstart - Perplexity
  7. Multimodal open d1 decision models for the edge - Liquid AI on Hugging Face
  8. Perplexity Releases pplx-decider, a 27B Open Model That Replaces Label Parsing - AlphaSignal
  9. Microsoft separates decision-making from generative AI with a new model - InfoWorld
  10. Laya - System 1 decision engine with calibrated probabilities - Convai Innovations

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