Cloudflare Clairic、文章ではなく型付きの値を返すモデル
Cloudflare(クラウドフレア)が自ら行った保険金請求のテストでは、新モデルClairic(クレアリック)を先頭に置いたパイプラインが61.7秒ではなく19.3秒で完了し、費用はLLM単体より49%少なくなりました。
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- Clairic + Clef + GLM-5.3
- 19.3s
- GLM-5.3 for every step
- 61.7s
Cloudflareは2026年10月19日、メールや文書、写真から正確な値を抜き出すモデル「Clairic」のプレビュー版を公開しました。チャットボットと違い、文章ではなく、数値や日付のような型付きのデータを返します。Cloudflare自身のテストでは、最初にこのモデルを使ったパイプラインが3倍以上速く処理を終え、費用も49%少なくなりました。
Clairicの機能
Cloudflareの発表は、Clairicを、同社が「抽出モデル」と呼ぶ新しい種類のモデルの第1弾と位置づけています。テキストと最大4枚の画像、それに取り出したいフィールドの一覧を送ります。するとモデルは、各フィールドを指定した型の値として返します。
対応する型は、テキスト、数値、日付と時刻、期間、リスト、推定値、予測です。答えが入力に含まれていない場合、モデルはnull、つまり空の値を返します。各回答には信頼度スコアも付きます。
ClairicはWorkers AIで動作します。Workers AIは、Cloudflareが自社のネットワーク上でAIモデルを動かすサービスです。開発者は、CloudflareのサーバーレスコードであるWorkerから、またはREST APIを通じて、@cf/cloudflare/clairicとして呼び出します。
出力トークンがないことの意味
多くの言語モデルは、回答を1トークンずつ書いていきます。トークンとは小さなテキストの断片で、通常は出力トークンが料金の高い部分を占めます。Clairicはその工程を省きます。「推論も出力トークンもない」とCloudflareは書いており、出力には料金がかかりません。
この設計にはトレードオフがあります。「このアーキテクチャにより、すべての回答は形式として正しくなるが、内容が正しいとは限らない」と投稿は述べています。値の型は常に正しいものの、値そのものが間違っている可能性はあります。
推定値は1つの数値だけでなく、範囲付きで返されます。Clairicは中央の値と80%区間を示します。これは、真の値が5回中4回は収まるはずの範囲です。
Cloudflareのテスト
Cloudflareは、破損した商品の保険金請求プロセスでテストを行いました。一方のパイプラインでは、Clairicで事実を抽出し、次にClefで判断を下し、最後に言語モデルGLM-5.3で返信を書きました。Clefは、Cloudflareが今月初めに公開した判断モデルです。もう一方のパイプラインでは、すべての工程でGLM-5.3を使いました。
| 指標 | Clairic + Clef + GLM-5.3 | すべての工程でGLM-5.3 |
|---|---|---|
| 全体の所要時間 | 19.3秒 | 61.7秒 |
| 事実抽出の工程 | 0.46秒(Clairic) | 16.1秒 |
| 判断の工程 | 0.22秒(Clef) | 21.9秒 |
| 請求100万件あたりの費用 | 6,032ドル | 11,740ドル |
Cloudflareによると、どちらのパイプラインもすべての実行で事実と判断を正しく導きました。別のテストでは、Clairicが米国の空港の保安検査を通る1日あたりの旅客数を21日分予測しました。予測の誤差は平均3.3%で、実際の21日分の数のうち17日分が80%の範囲に収まりました。
PPC Landは計算を検証し、1つの食い違いを見つけました。LLMだけで処理した場合の各工程の時間を足すと、61.7秒ではなく60.4秒になります。PPC Landはまた、出力トークンがこのカスケードの費用の約97%を占めると算出しています。
限界と未解決の疑問
Cloudflareは弱点について率直です。「読み取りは得意だが、複数ステップの算術はまだ得意ではない」と投稿は述べています。見慣れないデータでは、モデルが示す範囲が狭すぎることがあります。予測機能は基本的なもので、専用の時系列ツールの代わりにはなりません。Cloudflareは現行版を「初期のチェックポイント」と呼んでいます。
Cloudflareはモデルの重みを「近く」公開するとしていますが、日付やライセンスは示していません。価格のほうははっきりしています。CloudflareのWorkers AIのモデルページには入力100万トークンあたり0.10ドルと記載されており、RuntimeWireも同じ数字を報じています。同じページでは、コンテキストウィンドウ(1回のリクエストに収められるテキストの上限)が65,536トークンとされています。ブログ投稿だけを基にしていたPPC Landは、トークンあたりの価格は公表されていないと書いていました。
開発者にとっての意味
Clairicは、AIの作業を役割ごとに分けるという考え方を後押しします。安くて速いモデルが読み取り、大きなモデルは書くことだけを担う形です。アプリの費用が主に出力トークンにかかっているなら、この分け方は試す価値があります。
- 置き換えるのではなく、前段に置きましょう。 Clairicでメールや領収書からフィールドを抜き出し、難しいケースだけを本格的な言語モデルに回しましょう。
- nullと信頼度の値を活用しましょう。 しきい値を決め、それを下回ったら人か大きなモデルが結果を確認するようにしましょう。形式が正しい回答が、内容も正しいとは限りません。
- 計算はさせないようにしましょう。 生の値を求め、合計は自分のコードで計算しましょう。複数ステップの算術は既知の弱点だからです。
- 自社の文書でテストしましょう。 上の数字はすべてCloudflareのテストによるものです。速度や精度を信頼する前に、実際の入力を数百件試しましょう。
- 入力の量を基準に予算を立てましょう。 入力100万トークンあたり0.10ドルで出力に料金がかからないため、請求額は送る量で決まります。長いメールのスレッドは、送る前に短くしましょう。
出典
- Introducing Clairic, a new System One class of extraction models - Cloudflare Blog
- Cloudflare's Clairic model cuts AI pipeline cost 49% in its own test - PPC Land
- Cloudflare gives structured data tasks their own AI model with Clairic - RuntimeWire
- clairic - Workers AI models - Cloudflare Docs
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