AMD Zen 6でLinuxのSafeRET緩和策が不要に
カーネルのパッチが、AMD Zen 6でソフトウェアによる緩和策SafeRETを外します。チップが分岐予測(ブランチターゲットバッファ)をハードウェアで分離するからです。同じ権限どうしの攻撃には、今もIBPBが必要です。
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- kernel files the patch changes
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- Linux version Phoronix says it targets
- 7.4
AMDの次世代プロセッサでは、Linuxが投機実行に対する防御の一つを適用しなくなります。「x86/bugs: Adapt SRSO mitigation to Zen6」と題されたカーネルのパッチが、2026年9月1日にtipツリーに入りました。重要なのは、これまでカーネルがソフトウェアで担ってきた仕事をチップ側が受け持つからです。ソフトウェアの緩和策は、対象となるすべてのマシンで動きます。
パッチを書いたのはAMDのカーネルエンジニア、Borislav Petkov氏です。2026年8月21日に作成し、9月1日に自身でコミットしています。
何を防ぐための仕組みか
最近のプロセッサは、次にどのコードが動くかを予測します。これを投機実行と呼びます。予測しておけば、待たずに処理を進められます。予測が外れた場合、その作業は破棄されます。
問題は、破棄された作業が痕跡を残すことです。予測を誘導できる攻撃者は、プロセッサに本来触れてはいけないデータへ一瞬だけ触れさせられます。そして痕跡を読み、その内容を推測します。SRSO(Speculative Return Stack Overflow)はそうした欠陥の一つです。関数がどこへ戻るかについての予測を狙います。Phoronixの報道によれば、SRSOはZen 1からZen 4の世代に影響しました。
LinuxはSRSOに対し、SafeRETというソフトウェアの緩和策で応じました。Zen 6が不要にするのは、この部分です。
Zen 6がハードウェアで変えること
ブランチターゲットバッファは、コード中のジャンプがどこへ着地するかという予測を保持する小さなキャッシュです。あるプログラムのエントリが別のプログラムに影響できるなら、その予測は攻撃面になります。
Zen 6はそれらを分離します。コミットメッセージには「Zen6は異なるコンテキスト(ユーザー/カーネル、ゲスト/ホスト)を互いに分離するBTB保護を備えている」と書かれています。Phoronixはこの機能をBTB CTX isolation、つまりブランチターゲットバッファのコンテキスト分離と呼んでいます。
この説明が覆う境界は二つです。一つは通常のプログラムとカーネルのあいだ。もう一つは仮想マシンのゲストと、それを動かすホストのあいだです。
パッチが実際に行うこと
変更は小さく、x86のコードの3つのファイルに触れています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| コミット | 「x86/bugs: Adapt SRSO mitigation to Zen6」 |
| 作成者 | Borislav Petkov(AMD) |
| 作成日 | 2026年8月21日 |
| tipへのコミット | 2026年9月1日 |
| 変更ファイル数 | 3 |
| 対象カーネル | Linux 7.4、Phoronixによれば7.3への修正も可能性あり |
3つのファイルはarch/x86/include/asm/cpufeatures.h、arch/x86/kernel/cpu/bugs.c、arch/x86/kernel/cpu/scattered.cです。カーネルは新しいハードウェアの挙動を検出し、その状況を新しい緩和策の文字列で報告します。
ソフトウェアが引き続き担う部分
ハードウェアの保護はすべてを覆うわけではありません。コミットはその隙間について明確です。
ユーザー間、そしてゲスト間の攻撃は、まだチップでは扱われません。同じ権限レベルにある二つのプログラム、あるいは二つの仮想マシンが互いを攻撃する場合です。それらに対してカーネルは、Spectre v2の緩和設定を頼りに、コンテキストスイッチでIBPBを発行し続けます。
IBPBはIndirect Branch Predictor Barrierの略です。プロセッサに、蓄えた分岐予測を破棄するよう指示します。これにより、あるワークロードの予測が次のワークロードへ持ち込まれるのを防ぎます。
開発者にとっての意味
これを「Zen 6が投機実行の緩和策を終わらせる」と読まないでください。特定の二つの境界で、特定のソフトウェア的な修正が一つ外れるだけです。同じ権限どうしの分離はソフトウェアに委ねられたままです。一つのホストで複数のテナントの信頼できないコードを動かしているなら、Spectre v2の設定はこれまでと同じだけ重要です。
決めつけずに、自分のカーネルが何を報告するか確認してください。パッチは新しい緩和策の文字列を追加します。この変更を含むカーネルに移れば、自分のマシンが実際にどの状態にあるかはカーネル自身の報告に現れます。
ベンチマークで緩和策のオーバーヘッドを追っているなら、基準値を取り直す計画を立ててください。SafeRETが有効なZen 4で取った比較は、それのないZen 6のマシンを説明しません。古い数値をそのまま持ち越すべきではありません。
そして、まだ試せるハードウェアがありません。今回の情報源にZen 6プロセッサの出荷時期は示されていません。今四半期に測れる変更ではなく、カーネル側の準備が進んだものとして受け取ってください。カーネルの保護の既定値は、両方向に動きます。費用の面も忘れないでください。Microsoftは10月13日からWindows 11のメモリ整合性を既定で有効にします。
出典
- Linux Preps For New AMD Zen 6 BTB CTX Isolation Security Feature - Phoronix
- x86/bugs: Adapt SRSO mitigation to Zen6 - kernel.googlesource.com
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