CERN、産業用コンピューター2,200台をRHELからDebian 13へ移行
CERNは、RHELの標準コンパイラ設定が古いハードウェアを締め出す恐れがあったことを受け、産業用および組み込み用コンピューター2,200台以上をRHELからDebian 13へ移行させる。
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- industrial and embedded computers CERN is migrating to Debian 13
- 2,200+
- CERN ran Scientific Linux before switching to CentOS in 2015
- 10 years
- the RHEL default compiler baseline that pushed the migration
- x86-64-v2
CERNは、産業用および組み込み用コンピューター2,200台以上をRed Hat Enterprise LinuxからDebian 13へ移行させている、とPhoronixが報じている。理由はセキュリティ上の欠陥でも、ライセンスをめぐる争いでもない。CERNが粒子加速器の運用に今も頼っているハードウェアを、静かに締め出しかねないコンパイラの標準設定だ。
CERNの主要データセンターと実験用の計算基盤は、今回の移行の対象外だ。Phoronixによれば、そちらのインフラはRHELとAlmaLinuxのまま残る。移行するのは、実際の加速器ハードウェアを制御する産業用・組み込み用の機器群だけだ。
なぜコンパイラの標準設定が全面移行を強いるのか
RHEL 9は、x86-64-v2と呼ばれる基準命令セット向けにソフトウェアをビルドすることを標準としている。Phoronixによれば、この標準設定のせいで、CERNの古い機械の一部はそもそもRHELを動かせなくなる。Slashdotは、影響を受けるハードウェアを、2013年頃のXeonプロセッサーを含む古いシステムだと説明し、CERNがこの変更を「強制的な陳腐化」と表現していると伝えている。
問題のハードウェアはちゃんと動いている。作られた目的の仕事をこなしている。それが対応外になるのは、新しいOSのバージョンが、その下により新しいプロセッサーがあることを前提としているという、ただそれだけの理由からだ。
RedHat系からの離脱は、CERNにとって初めてではない
CERNは以前にもLinuxの基盤を変えたことがある。Phoronixによれば、この研究所はRed Hatのコードを基にした自前のScientific Linuxを約10年間運用したのち、2015年にCentOSへ切り替えた。
| 時期 | オペレーティングシステム |
|---|---|
| 約10年間、2015年まで | Scientific Linux |
| 2015年から現在まで | CentOS、その後RHEL系システム |
| 移行先 | Debian 13 |
その以前の切り替えも長くは続かなかった。Linuxiacによれば、今回RHEL系から離れるより直接的なきっかけは、CentOS自身の方針転換であり、同メディアはそれを「時期尚早な終焉」と表現している。Linuxiacによれば、CERNの2人のエンジニア、フェデリコ・バガ氏とニコス・ツィピナキス氏が、2026年のMiniDebConf Winterthurでこの移行計画を発表した。
この移行がすぐには解決しないこと
この移行には実際にコストがかかる。Phoronixによれば、CERNはDebianのエコシステムに本物の課題があると指摘している。パッケージの自動ビルドと公開のための標準的な基盤がまだ存在しない。既存のツールも、同じパッケージの複数バージョンを一度に扱うのに苦労している。
これらは、これほどの規模の機器群が日常的に本当に必要とする、地味な運用ツールだ。小規模なディストリビューションの標準ツールが、それを最初から備えているとは限らない。
これが開発者にとって意味すること
これはRHELに限った話ではなく、コンパイラの標準設定全般への警告として読みたい。どんなOSやツールチェーンでも、一見ルーティンに見えるリリースの中で、最低限必要なCPUの基準を静かに引き上げることがありうる。長く使われ続ける組み込み機器や産業用ハードウェア向けのソフトウェアを保守しているなら、自分のビルド対象がいま前提としている命令セットを確認したい。そのうえで、その基準が時間とともにどう動くかについて、ベンダーが公開している方針があるかどうかを確かめたい。
「壊れるもの」と「単に古くなるもの」を分けて考えたい。CERNのハードウェアは故障したわけではない。新しいコンパイラの標準設定に組み込まれた前提によって、対象から外されただけだ。これは部品の故障とは違う種類の不具合であり、違う対応がふさわしい。ディストリビューションの標準設定が、自分たちの最も古い稼働中の機械にいつまでも合い続けると当てにするのではなく、ビルド対象を明示的に固定しておきたい。
自分たちで同じような移行を検討するなら、CERNが説明しているようなパッケージツールのギャップを見込んでおきたい。企業規模の機器群は、自動ビルドや複数バージョンのきれいな扱いといった基盤に頼っているが、小規模なディストリビューションの標準ツールは、必ずしもその規模向けに作られてはいない。ディストリビューションの単純な入れ替えだと考えるのではなく、そのギャップのために実際の時間を確保しておきたい。
出典
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