Firefox Enterprise、自社で運用する管理コンソールとともに提供開始
Mozillaは10月12日、Firefox Enterprise(ファイアフォックス・エンタープライズ)を発表しました。ブラウザーと、企業が自社のサーバーで運用するコンソールを組み合わせた製品です。まず欧州4か国で販売されます。
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- launch countries: France, Germany, Austria, Switzerland
- 4
- monthly Firefox users, per Mozilla
- ~200M
Mozillaは2026年10月12日、Firefox Enterpriseの提供を始めました。Firefoxブラウザーに、組織が自社のインフラで運用する管理コンソールを組み合わせたものです。販売はフランス、ドイツ、オーストリア、スイスで始まります。IT部門は、ブラウザーのルール設定、データの行き先の管理、従業員が使ってよいAIツールの決定を1か所で行えます。その管理をクラウドベンダーに委ねる必要はありません。
Firefox Enterpriseの中身
Mozillaの発表は、ブラウザーとコンソールという2つの部分を挙げています。コンソールを使うと、IT部門はブラウザーのポリシーとアクセスを管理し、ブラウザーを通るデータの流れを統制し、AIの利用を制御できます。
Firefox Enterpriseの製品ページは、コンソールの主な管理機能を次のように挙げています。
| 機能 | 内容 |
|---|---|
| ポリシー管理 | すべてのデバイスのブラウザーポリシーを一元的に設定 |
| データ損失防止 | 機密データに関わる操作を、ウェブサイトのドメインごとに警告またはブロック |
| AI管理 | AIツールを許可、制限、または無効化 |
| Lockdown Mode | リスクの高いブラウジング向けの厳しく制限されたモード |
| 拡張機能の管理 | 組織全体でアドオンを許可またはブロック |
| 接続の管理 | ブラウザーによる外部への通信とテレメトリーを制限 |
| 監査エクスポート | ブラウザーのイベントと監査アクティビティをSIEMに送信 |
データ損失防止(DLP)は、従業員が機密情報を誤った送り先に送るのを防ぐ仕組みです。SIEMは、企業全体からログを集めるセキュリティシステムです。テレメトリーは、プログラムが開発元に送り返す利用データです。
製品ページは、IDに基づいて社内アプリにアクセスできる機能も紹介しています。対象は従業員、契約社員、私物の端末を使うスタッフです。従来のリモートアクセス基盤がなくても機能するとしています。
既存のツールと並べて使う設計
Mozillaによると、この製品は企業の既存のIDプロバイダー、SIEMプラットフォーム、MDMシステムを置き換えるのではなく、それらと連携して動きます。MDMは、IT部門が会社のデバイスを管理するために使うソフトウェアです。CyberInsiderも同じ連携について報じています。
製品ページによると、Firefox Enterpriseは、組織がDORA、GDPR、NIS2、ISO 27001、SOC 2の要件を満たせるよう設計されています。これらは、セキュリティとデータ保護に関する欧州の規則と国際規格です。
Mozillaは価格を公表していません。製品ページには、ダウンロードの代わりに「Contact sales」と「Request a Demo」が用意されています。The Next Webによると、サポートはパッケージに含まれています。
売りはGoogleとAppleの外にあるエンジン
FirefoxはGeckoで動いています。Mozillaは、GeckoをGoogleとApple以外で開発されている唯一の主要ブラウザーエンジンだとしています。The Next Webが指摘するように、たとえばMicrosoft EdgeはGoogleのChromiumをベースにしています。
「すべての選択肢が根底で同じ技術の上に作られているなら、『選択』はうそです。コントロールもまた、うそです」と、Mozillaの最高経営責任者(CEO)であるAnthony Enzor-DeMeo氏は述べました。
The Next Webは、今回の発表を欧州のデジタル主権の推進と結び付けています。デジタル主権とは、国や企業が依存する技術を自ら管理することです。Mozillaは、ブラウザーがこの議論で見落とされている部分だと主張しています。従業員はブラウザーを使ってサインインし、ファイルを共有し、AIツールにアクセスするからです。
Mozillaによると、Firefoxの月間ユーザーは約2億人で、すでに数千の組織で導入されています。同社は発表前からこの製品について予告していました。Firefoxの責任者であるAjit Varma氏は、10月7日のdiginomicaのインタビューで、企業向け版がベータ段階にあると語っていました。同氏によると、その版は「データ損失防止と管理された可視化の機能を拡充した」ものです。
Firefoxは一般ユーザー向けのAI機能も追加してきました。たとえば、Smart WindowのベータをMistral Small 4で動かしています。新しいAI管理機能を使えば、企業はそうしたツールをオフにできます。
次はThunderbird
Mozillaによると、Thunderbird Enterpriseを開発中です。同じ顧客管理型のモデルをメール、カレンダー、連絡先に広げ、Firefox Enterpriseのコンソールから管理できるようにするものです。提供時期は示されていません。
開発者にとっての意味
- 社内アプリをFirefoxでテストすること。 Firefox Enterpriseを採用した企業では、従業員がGeckoを使うことになります。Chromeでしかテストしていないウェブアプリは、細かな部分で動かなくなるおそれがあります。今のうちにFirefoxをテスト対象に加えてください。
- AIツールがブロックされる前提で考えること。 コンソールでは、ブラウザー内のAIツールを制限または無効化できます。ブラウザーのAI機能に頼る社内アプリには、代替手段が必要です。
- データ損失防止のルールに注意すること。 DLPは、ドメインごとにアップロードや貼り付けを警告またはブロックできます。アプリが機密ファイルを扱う場合は、アップロードがブロックされたときの挙動を確認してください。
- ホスティングを計画すること。 コンソールは自社のインフラで動くため、誰かがデプロイ、パッチ適用、バックアップを担う必要があります。公表されていないライセンス価格とあわせて、その分もコストに含めてください。
- 4つの発売国以外では、待つこと。 Mozillaは今後ほかの市場にも広げるとしていますが、具体的な市場名は挙げていません。
出典
- Introducing Firefox Enterprise - Mozilla
- Firefox Enterprise - Firefox.com
- Mozilla launches Firefox Enterprise for companies in Europ - The Next Web
- Mozilla launches Firefox Enterprise with self-hosted browser management - CyberInsider
- Firefox's Ajit Varma on enterprise security, AI model choice and what open source makes possible - diginomica
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